日々綴(とある私立大学職員)

思うことを書いていこうと思います。主として大学関連の話題。ただし、それ以外も(とある私立大学職員)

箱根駅伝への参加

 2016年の優勝校である青山学院大学の原晋監督が「箱根駅伝を全国大会に」と発言したとの記事優勝校の監督からこうした言葉が出るのは影響力もあるし、大変ありがたいと個人的には思う。

r25.yahoo.co.jp

 知らない方もいるかもしれないが、箱根駅伝は大学駅伝のあくまで"地方大会"である。広く一般に知られているという意味で、大学陸上界でも一番有名で、華のある大会ではないだろうか。

 

 この箱根駅伝に参加するには、「関東学生陸上連盟」に加入していなければならない。この連盟への加入は、関東学生陸上競技連盟規約によると、「(組織) 第 6 条 本連盟は、茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の各都県に所在する 大学、大学院、短期大学及び高等専門学校(第 4・5 学年)の加盟をもって組織する。」とある。山梨って関東じゃないのになんで山梨学院が出ているのかと思っていたが、連盟では関東に入るようだ。

 

 記念大会などでは、この連盟以外からも参加した模様。

 9・12・13回大会 関西大学

 40回大会 立命館大学福岡大学

 これ以外では上記連盟以外は出場していない。(9・12・13って何の記念?)

 

 そのため、箱根駅伝に出るためには、関東学生陸上連盟加入の大学に行く必要があり、こうした地域に有力な長距離の選手が集まる傾向がある。陸上の長距離を強化しようとすれば、有力校が集まる関東に投資すると投資効果が高いと言えるであろう。経済学的に見れば、効率的であると言える。

 

 一方陸上の人気という観点で見れば、現状でも全国的人気があるとは言え、関東に集中してしまっている感は否めない(?)。あるいは、もっと人気が上がるのをみすみす逃してしまっているとも言える。

 また、地方大会であるとは言え、全国大会よりも人気が高い箱根駅伝には、長距離をやっている選手であれば、誰しもが出場を夢見る。学力や金銭的な理由、怪我等、さまざまな理由で関東の大学に進学できない学生からしてみると、何ともやりきれない思いもあるだろう。

 もちろん、こうした全国的な人気は、関東の大学の優位性にもなり、学生獲得の手段になっている。ここまでの大会になったのは、関東学生陸上連盟の多大なる貢献があったことを忘れてはならない(もちろん様々なドラマがあったことも要因だし、地元の後援、日本テレビ等の貢献も大きい)。

 

 ただし、私は次のような理由から、この原監督の意見に賛成である。

 ・学生の参加機会確保

 ・陸上界の発展(記事にもあるが、やはり母校が出るとなると応援する人も多い)

 ・将来的な大学スポーツのビジネス化

 

 最後の将来的なビジネス化は、アメリカの大学スポーツ界のように、スポンサーを集めて、そうした資金がスポーツ振興や奨学金に回るといいと思う。日本の場合、とかく教育と金銭との結び付きを敬遠する風土があり、恐らく相当な抵抗感があると予想される。しかし、本来一番貢献しているところにお金が回っておらず、テレビ局が儲けている実情(すいません推測です)、近年の大学改革による補助金削減の事情から、大学が自分で稼げる手段、そこで活躍している学生や未来の学生にお金が回る機会を広げてほしいという思いからこうした提案をするものである(ただブログで書いただけで提案しているとは言えないが)。

 

 大学側の事情を記載すれば、近年は特に収入の確保が重要になってきている。18歳人口の低下、入学定員充足率の変更、補助金等の削減。こうした事情もあるなかで、軍事研究への補助金に手を出す大学も増えてきた。この軍事研究については別途触れたいと思うが、大学の独自性を保つには、財務体質の改善、すなわち稼げる大学になる必要があると思う。

 もちろん、無駄を削減することが第一であり、場合によっては教職員のコストカットも必要である。そうしたものに加えて、やはり稼げる手段を持つというのが大事だと思うのだ。