大学生の奨学金問題について
問題になっている奨学金のことについて、私なりの意見を記載したい(以下の文献読了後)。
海外の大学では、高等教育が無償だという話もよく出る。確かにそういった面もあるが、どちらかというと近年は有償化の方向にシフトしている。公的支援の削減は世界的なもののようだ。
そういった意味では、日本は先進的とも言えるのかもしれない。
地元自治体に戻ってくれば、奨学金返済が不要という政策を取る自治体が増えているというニュースも見る。地方自治体にとっては有効な政策の1つであろうが、本来居住の自由があるわけで、戻ってきたから返さなくてもいいというのは少々違うのではないかと個人的には思っている。限られたパイを同じ国の中で奪い合っているだけなのではないか。やるのであれば国が等しくするべきではなかろうかと思うのだ。
日本の奨学金制度は、あくまで教育ローンであり、学生負担が重いのは確かにその通りである。就職後、多大なローンを抱え返済に苦しみ、大変な生活を送っているというニュースも良く見聞きする。大学として、こうした学生たちへの配慮を求めるのは当然であろう。また、大学生が社会に出ることで、社会全体の便益になるということも忘れてはならない。
一方で、社会全体を考える必要がある。日本にそうした予算があるのか。また、その他の政策よりも優先順位が高いものだろうか。子どもの貧困、生活保護、社会保障費の増大、若年層の雇用や給与の不安定さ等々、様々な問題をトータルで考えていかなければならない。
大学という現場にいる以上、その現場の声を挙げていくのはもちろんである。しかし、様々なデータ、情報を扱える、社会的に影響力のある発信ができる大学は、そうした弱者の声も拾うべきではないかと思うのだ。
特に子どもは、自分では稼ぐことができない。だからこそ、より優先順位が高いのではないかと私は思っている。
もちろん様々な無駄な支出は削る必要があるし、大学生の奨学金制度がこのままでいいとは思わない。せめて所得連動型の返済にとは思う。
以下勝手な私案(様々な想定が足りないことは承知しています)
18歳~22歳の4年間、年間150万円を国民全員に給付してはどうか。私立理系や一人暮らしをしている学生にとっては足りない額であるし、留年する人、薬学や医学の6年制等、想定が足りないことも重々承知している(薬学、医学は投資回収効果が高いので、奨学金をプラスで借りても十分ペイできるでのはとも思うが)。また、今後増加が予想される大学院進学者、社会人学生等への考慮も足りていない。あくまでも一つの案である。既にこうした案もあるのかもしれないが。
給費型奨学金制度の導入が進まないのは、大学進学をしない層が一定数いることが主な要因と考えられる。であるのであれば、大学進学をしない者も含め、18~22歳の国民全員に一定額を給付し、20歳~40歳の所得税を上げてはどうか(とりあえずは大卒を想定しない20歳からで算出)。
以下のサイトの平均年収からシミュレーションしてみた。
最新版! これが年代別平均年収だ 男女差、企業規模別、業種別ランキング|「マイナビウーマン」
給付額は150万×4年=600万
例えば、年間給与に所得税を+10%一律で上乗せしたと仮定すると、
20-24歳の平均年収 246万 年24.6×5年=123万
25-29歳の平均年収 339万 年33.9×5年=169.5万
30-34歳の平均年収 384万 年38.4×5年=192万
35-39歳の平均年収 425万 年42.5×5年=212.5万
40歳は40-44歳のデータしかないため、仮に42.5万とする。
とりあえず上記だと、計739.5万となる。大卒者が今以上増えると仮定し、22歳からとすれば、2年分減って24.6万×2年=49.2万が減るものの、トータルではプラスとなる739.5万-49.2万=690.3万。給付額より90.3万ももってくのかという指摘もあるかもしれないが、働けない方、働かなくなる方(主婦、主夫等)、海外移転者等を考慮すれば、給付額より若干多めに徴収することが必要である。
所得連動型と似てはいるものの、大学進学者以外にも給付するという点が違う。大学進学者以外にとっても、若年時は子どもの養育費等がかかるので、こうした費用が支給される意味はあるのではないかと思う。早めに働く人ほど早く徴収されるという点はあるし、大卒後フリーター等になる方にとっては10%の所得税は重みかもしれないが。
様々な想定は足りていないだろう。しかし、大学進学者だけに給付するという仕組みは、大卒者と高卒者の給与額の差等を考えれば、大学進学をしない人にとっては受け入れにくいもので、そうした層にも配慮すべきだとは思うのだ。
荒唐無稽な案かもしれません。