日々綴(とある私立大学職員)

思うことを書いていこうと思います。主として大学関連の話題。ただし、それ以外も(とある私立大学職員)

個人情報とプライバシーについて

 大学のような機関に勤めつつも、個人情報とプライバシーの違いについて、きちんと理解していなかった。改めて考えるきっかけとなったのが以下の記事。 

toyokeizai.net

 個人情報とは一般に「氏名、性別、住所、生年月日」などに代表される個人を特定する情報。プライバシー権とは、この記事の木村先生によれば、「人間関係を形成する自由を確保するために保障されなければいけない権利 」とある。

 

 プライバシー権について、私の理解力のせいか、いまいち腑に落ちなかったので、いくつか調べてみた。その中で一番しっくり来たのが以下のサイトの記載である。

大川法律事務所ー講演記録・プライバシー・個人情報と人権〜プライバシーとは何か

 このサイトによれば、プライバシーは法律上規定があるわけではなく、憲法上の規定である個人の尊厳等が法的根拠になっているようだ。

 ここからは私なりの解釈であるが、権利というよりは、権利が侵害された際の保護であるため、プライバシー権という言葉よりは、「プライバシー権の侵害」として始めて成り立つ言葉なのだろうと解釈する。

 プライバシー権だ!というよりはプライバシー権の侵害だ!として始めて成立するのだろう。

 

 上記のような認識を基に、大学が扱っている情報は、当然として個人情報が主となる。アンケートなどで、学生生活に係るようなプライバシー(情報)も収集しているが、プライバシーはプライバシー権の侵害があって成り立ち、侵害とは公表を前提にしているものであり、集めた情報を個人が特定できる形で公表しない限り、これにはあたらない。プライバシーに関わる情報を集めていたとしても、それが公表されない限りはそれを主張できないのだろう(きっと)。

 

 だからよくある情報漏えいは、企業側、大学側などからみれば、個人情報の漏えい、個人からみれば同様に個人情報の漏えい、あるいはプライバシー権の侵害となるのである。企業側、大学側などはプライバシー権の侵害は主張できない。

 

 近年、大学改革等で扱われるIR(Institutional Research)やEM(Enrollment Management)を扱っている方には何をいまさらという概念なのだろうが、私のようなそうした専門でない身にとっては、こうして整理してやっと自分に落とし込めるのである。

 

 IRやEMでは、様々な情報を組み合わせて使用しているが、当然個人を特定できるもの(学籍番号や氏名等)は削除して使用しており、個人が特定されることはない。しかし、作成段階においては様々な情報を組み合わせる中で、こうしたプライバシーに関わる状態になることもある。また、その過程を残していることもきっとあるだろう。こうした情報の取り扱いについては、より注意をはらう必要がある。しかし、その一方でこうした情報を元に様々な分析がされ、そこから分かる新たな見識によって、学生の利便性に繋がる政策が打てるという点も忘れてはならない。恐れ過ぎずてもいけないし、軽く考えすぎてもいけない。

 

 ※ 最後になるが、私は憲法学者でもないし、法律に係る学部学科を出身でもない。こうした分野の素人である。上記はいくつかの引用は含むものの、私なりの解釈を多分に含んだ記載となっており、この文責は私にある。解釈等が間違っている場合についてはご意見をいただければと思う。