日々綴(とある私立大学職員)

思うことを書いていこうと思います。主として大学関連の話題。ただし、それ以外も(とある私立大学職員)

大学等設置に係る寄附行為(変更)認可後の財政状況及び 施設等整備状況調査結果について(平成29年度)

 大学等設置に係る寄附行為(変更)認可後の財政状況及び施設等整備状況調査結果について(平成29年度)が公表された。

 

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/02/__icsFiles/afieldfile/2018/02/23/1401633_001.pdf

 

 幾つか気になる記載があったため、触れてみたい。大学名は上記に記載されてはいるが、流石にここに記載するのは憚れるため、気になる方は上記を参照願いたい。

 

 1.研究費への言及

事業活動支出に対する教育研究経費の割合が同系統の大学等を設置する学校法人に比べ低く、また、近年この割合が低下傾向にあることから、教育研究条件の充実向上を図ること。

 2.経営状況

負債率が高いことから、負債について計画どおり償還し、負債額の減少を図ること。

 3.授業料に対する経費割合への言及

学生生徒等納付金に対する経常的経費支出の割合が同系統の大学等を設置する学校法人に比べて低いことから、同納付金の学生への還元を図ること。

 4.情報の公表について

学校法人の公共性に鑑み、財務情報の一般公開(ホームページへの掲載)について積極的に対応すること。 

 

 1.研究費への言及について

 研究者である教員をある種勇気づけるものであると思う。近年、教員への研究費は厳しい状況であるとの報道や大学教員自身からの公表で表に出てきている。これら研究費について、是正意見として公式に見解が出されるのは評価されるべきことだと思う。

 

 2.経営状況について

 私自身、財務に疎いので、比較すべき大学の経営状況等はなかなかわからない。財務情報については公表されているものの、一つ一つを追っていくのは大変であるため、こうした指摘で状況がわかるのはありがたい。

 

 3.授業料に対する経費割合への言及について

 学生が納める授業料に対して、経費割合が低いという指摘である。授業料がきちんと学生に還元されているかどうかという点をこうした調査で言及しているのは評価されるべきだと思うし、さまざまなところで公表されるべきことだと思う。

 

 4.情報の公表について

 大学の財務情報については、私立学校法で作成と備付義務が規定されている。ただし、公表についての言及はない。一方で、大学は国からの補助金が導入されていることから公共財としての側面も持つ。そうした意味で広い情報公開が求められており、一般公開への言及がされているものだと思う。教育情報についても積極的な公開が求められており、それに関連したものであろうと推測される。

 私立学校法

(財産目録等の備付け及び閲覧)
第四七条 学校法人は、毎会計年度終了後二月以内に財産目録、貸借対照表、収支計算書及び事業報告書を作成しなければならない。
【則】第四条の四
《改正》平16法042
2 学校法人は、前項の書類及び第三十七条第三項第三号の監査報告書(第六十六条第四号において「財産目録等」という。)を各事務所に備えて置き、当該学校法人の設置する私立学校に在学する者その他の利害関係人から請求があつた場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならない。

 

 久しく大学関連で書いていなかったが、なかなかおもしろい記載があったので触れてみた。まだまだ知らないことが多いなと思う次第。

 もっと学ばねば。