日々綴(とある私立大学職員)

思うことを書いていこうと思います。主として大学関連の話題。ただし、それ以外も(とある私立大学職員)

大学のガバナンス改革について

 大学のガバナンス改革が行われ、実質動き出したのが今年度4月からである。

 このガバナンス改革は文科省曰く、学長の権限と責任を明確化したもの(個人的には強化したものと捉えている)。にしても、今年からスタートしたのにトラブルが多い気がする。

 

 具体的な大学名には触れないが、今回の改革は私なりのある種の曲解として、

 学長は"王様"であり、"王様の言うことは絶対!"というような認識を持っている。

 (合コンの王様ゲームのようだ)

 

 責任と権限を集中させると、上手くいくときは物凄く上手くいく。単純に意思決定のプロセスは早まるわけで、それが組織の方向性だったり、世の中の流れ、潜在的な需要の掘り起こしなんかになれば、上手く回る。

 一方で間違ったリーダーを選んでしまった時のリスクは大きい。何を言っても通じなかったり、その人がやりたいこと、あるいはその人の周辺にしか利益が回らないことしかしないなど。

 この辺りは想像に難くなく、言うまでもない。

 

 こうした事態を防ぐために、各大学では規程整備をする際、学長のリコール規程を作ったところもあった。また、規程は整備しても、これまでのプロセスは変えていない大学もある。学長や副学長等の執行部が大学の全てを把握できるわけではない。だからこそ、現場の様々な声を聞きつつ、必要な政策を打っていくことが必要であるとの観点からであろう。様々な意見を聞きつつ、最終的に責任を持って決断をするのは学長の役目だ。

 ※ ただし、学長を選任する選挙管理委員会等とリコールができる、あるいは議論する機関が一緒の場合もあり、形骸化している大学もある。

 

 個人的には大学の変化を嫌う保守的な風土、危機意識の不足、決断力のなさ、コスト意識の不足等に不満を抱えていた。しかし、大学のような準公的な機関では、なかなか物事が決まらない、多くの合意が必要であるといったプロセスも必要なことだったのではないかと最近の大学業界、あるいは政界を見ると思うのだ。